Unhistory Channel 152 - パラドゲー記録

Paradox Interactive, Crusaderkings3, AAR

OIG2 (1)
 アンリカ市長カータン・レステにFCアンリカのホーム試合に招かれた。
 FCアンリカは決勝トーナメントを勝ち上がっていて、この試合にすべてがかかっている。メルコパ杯は目の前だ。試合相手はリジア王国のレアル・モンタクラル。
 
 アンリカ市内に入ると町中にターキン・ソルのポスターが貼られていた。看板にもソルの姿がある。まるで選挙戦に挑むのが私ではなく、ソルであるかのように。そういえば彼はこの町の出身だった。

 そしてスタジアムに入ると、FCアンリカのサポーターがターキン・ソルの巨大な写真をかかげているのが見えた。彼らはソルのために作られたチャントを歌い、旗を振った。

 VIPルームにはターキン・ソルとイーウォルド・アルフォンソがいた。要するにターキン・ソルが主賓で、私とアルフォンソは添え物というわけだ。2人は口論していて、私は沈黙していた。
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「アントン、君は任期中も静かだったな」
 アルフォンソが言った。
 どういう意味かはわかっている。私にめざましい実績がなかったことをこう表現しているのだ。ソルのように党と憲法を立ち上げたわけでもなく、アルフォンソのように大々的に経済を破壊したわけでもない。
 私は答えた。
「そう見えるならうれしいですね」と。そこに含まれた皮肉にアルフォンソは気づいただろうか。

 ソルとアルフォンソは口論に戻った。
 硬直したソリズムと、国を切り売りする新自由主義。彼らの議論にいまさら興味はなかった。

 国民戦線の垂れ幕をもったFCアンリカのサポーターがいるのに気づいた。USPの牙城だったアンリカでは珍しい光景だ。ソルがそれを指して言った。
「あれもレイン君のせいだな」
 知るか。

 試合は0-1でハーフタイムを迎え、後半に戦意を失ったFCアンリカは0-2で負けた。メルコパ杯は夢と消えた。残念だった。ここへ来たことを少し後悔した。わざわざ見にこなくても、敗北なら間に合っている。
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 各国首脳、諸国連盟ANの総会に集結(ジオポリティコ紙)

 キュルテでのAN総会に出席しなくてはいけない。
 行きたくなかったが、行くしかない。

 私の脳裏を支配していたのは、やはりあのことだった。ランバーグ機の撃墜事件。その後に確認をして、国防相も将軍も撃墜したのはソードランド領空内だと請け合ってくれた。しかし国境があまりにも近い。なにか間違いがあったのではないか?

 私はキュルテのテレビインタビューで「はい。ランバーグは嘘をついています」と言った。あんなことを言わなければよかった。もっと話をそらすことができたはずだ。あの一言のせいで、のちのち大変なことになるかもしれないのに。

 ランバーグからはベアトリス女王が総会に出席してくるだろう。彼女がソードランドに対する国際的調査を要求し、その結果、私の発言と異なる事実が明るみに出たら?
 ソードランドはおしまいだ。アルカシアからは見放され、ランバーグは侵攻してくるだろう。

 だが私には隠し玉がある。外相のデイヴィド・ウィシと何度も練り直した秘策が。
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 キュルテ:アンタセアン海の諸島国。古来より貿易で栄える。17世紀にヴァルグス帝国の支配下となるが、革命期に独立を果たす。中立政策を重んじ、ANの本部がある。

 飛行機の旅は快適だった。
 私は眠りに落ち、そしてまたあの夢を見た。
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 首都上空にキノコ雲が湧きあがる

「大統領閣下。大統領閣下。大丈夫ですか?」
 制服を着たクルーが話しかけていた。
 私は汗だくになって目覚めた。
「ああ、大丈夫だ。悪い夢を見た」

 見ると、となりに座るウィシはすやすやと寝ている。私は拳を握りしめた。私の再選など小さなことだ。私は守らなくてはいけない。祖国を。人々を。そして家族を。
 そのために戦う準備はできている。
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 諸国連盟(AN):革命期の激動のなかで構想され、構築された国際組織。世界中の国家が協力し、秩序を保ち、平和的な交流を行うために創設された。特別多数の支持のもと決議を行うことができる。
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 ANの総会が始まった。
「世界中の権力者たちがこの屋根の下に集まっているわけですね」とウィシは言った。
「そうだな。たったひとつの誤った発言が世界を地獄に導くかもしれない」
「言葉はあなたの武器です、大統領閣下」
「そう願おう」
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 強欲のアルバレス

 最初に発言したのはレスピアのパトリシオ・アルバレス首相だった。
 彼が共産主義の脅威について話すとざわめきが起こった。マルキア海でのヴァルグスランドのプレゼンス強化について非難すると、ざわめきはさらに大きくなった。

「しかし、私がもっとも強調したいのはウェーレン問題であります」
 アルバレスはウェーレンをならず者国家だと非難した。条約を侵害し、ブルド人を虐殺していること。難民がレスピアに押し寄せ、ウェーレン内にあるレスピアの資産が差し押さえられたこと。東メルコパの周辺諸国が団結してウェーレン問題に対処しなくてはならないこと。
 アルバレスの演説はメルコパ諸国の代表たちから熱狂的な拍手を受けた。私も拍手した。
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 虐殺者スモラク

 次はウェーレンのウィクトル・スモラク大統領。
「レスピア代表にはっきり言っておく。ブルド人の虐殺とあなたが呼んでいるものは存在しない。あるのはブルド自由戦線BFFに対する戦いだ」

 スモラクは感情豊かに話した。
 内戦でぼろぼろになった国ウェーレン。なのにATOとレスピア、ランバーグはBFFを支援し、介入を続けている。
「レスピアの求めるものはなにか? それはウェーレンの石油だ。レスピアの介入に対して、ANは調査を行うべきだ!」

 議場は叫び声に包まれた。スモラクは正しいことを言っているように思われた。だが、いまや私はレスピアと同じ陣営にいる。だから拍手はしなかった。
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 同盟者ヴァン・ホールテン

 続いて我が同盟国アグノリアのマーティン・ヴァン・ホールテンが発言した。彼はコンタナ連邦とヴァルグスランドの社会主義者たちがアグノリアを狙っていると言い、係争地のヘリランド島は我が領土だと明言した。拍手。
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 怒りの人ヘーゲル

 ヴァルグスランドのエメリッヒ・ヘーゲル書記長はこれに激しく反駁した。ヘリランド島は不可分のヴァルグスランド領であると。ヘーゲルは植民地主義とアルカシア帝国主義を断罪し、演説を終えた。コンタナ連邦、シナ大陸、リカ大陸諸国からの熱烈な拍手。

「いよいよです」とウィシが言った。
 今からランバーグのベアトリス女王が発言する。
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 ベアトリス・リヴィングストン
 ランバーグ王国女王 

「みなさんもご存じのことでしょう。我が隣国、ソードランドの軍用機がランバーグ領空をしばしば侵犯していることを」
 なんだと?
 こいつはなにを当然の前提のように言っているんだ。

「この領空侵犯は今でも続いています。しばらく前、ランバーグ機がわが領空内で撃墜されました。これは明らかに戦争行為にあたります」
 彼女の言葉はすべてさかさまだ。まるで鏡の国の女王のように。

「ランバーグは平和を希求します。しかしソードランドは違う。AN総会に集った諸国のみなさん、ソードランドは国際平和に対する脅威です。彼らは我が国の反逆者をかくまい、その大統領は我が国のスパイを捕まえたと喧伝しています。その『スパイ』が彼自身の秘書であったにもかかわらずです。こんな嘘を誰が信じるというのでしょうか?」

 彼女は続けた。
「またソードランドは国境を閉ざし、ブルド人難民を見殺しにしました。スモラクと共謀し、その血まみれの手に彼らを渡したのです。
 私はここに、ソードランドに対する国際的調査を開始することを提案します。もしANがこの危険な国家を野放しにし続けるなら、ランバーグ王国自身がその手で問題を解決せざるをえないでしょう」

 やはりそう言ってきたか。
 ソードランドはその国際的調査とやらに耐えられるのだろうか?

「私はATOとソードランドを非難します。彼らは東メルコパにアルカシアの軍隊を引き込んで地域を不安定化させている。
 それと最後に申し上げます。ミスター・スモラク。あなたの言う『ウェーレンにランバーグが介入している』という主張はきわめて疑わしい。あなたの中傷は我々には通じない。自由のために戦う準備はできています。ランバーグ王国は不動で、強力です。そのことをよく肝に銘じなさい。以上です」

 拍手は少なかった。
 女王は理解されるために話しているのではない。威圧するために話したのだということが、よくわかった。ランバーグに味方は必要ない。

 ウィシが私を見た。
「あなたの番です、大統領閣下」
「なにかアドバイスをもらえないか」
「アドバイスはありません。打ち合わせ通り、真実をお話しください」
「わかった」

 私は指先でマイクをつつき、話し始めた。
OIG4
「今日ここで述べられたいくつかの問題について、私は言及したいと思います。
 まずウェーレン問題について。悲劇的な出来事に心を痛めています。実行された作戦は多くの死をもたらしました。無実の人々の死に哀悼の念を表します」
 私は議場を見回した。
 みな私の言葉を黙って聞いている。

「次に、ランバーグ王国について話したいと思います。
 ソードランドは平和を望みます。仮にランバーグの軍事的圧力にさらされているとしてもです。最初にソードランド軍機を撃墜したのはランバーグです。それもソードランド領空において。我々は領空を防衛したにすぎません。

 また、ランバーグはブルド自由戦線BFFに対してその兵器を供給していました。スモラク大統領の言葉はその限りにおいて正しい。ランバーグは危機の輸出国なのです。

 さらなる証拠をお聞かせしましょう。ベアトリス女王が『反逆者』と表現した亡命者ミスター・ヘイルストーンは貴重な情報をもたらしました。ランバーグの核開発施設についての情報です。情報の詳細はただいま配布いたします」

 議場がどよめいた。
 いいぞ。

「私はここにANがその責務を果たすことを要求します。ランバーグの核施設は査察され、破壊されなくてはなりません。ランバーグは平和の敵です。ANがその判断を誤ることのなきよう、私は希望します。迅速な判断が必要です。核か、平和か。あなたがたはどちらを選ばれるのか?

 私の発言は以上です。
 メルコパに平和を。世界に平和を」

 議場のどよめきはまだ続いている。
 レスピアのアルバレス首相が立ち上がり、拍手してくれた。ATO諸国がそれに続く。議場の半分が拍手に包まれた。
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 世界で最も強い男ウォーカー

 次はアルカシアのウォーカー大統領の番だ。
 彼は簡潔にコンタナ連邦の脅威について話し、共産主義者たちのたくらみをくじくと言った。
 ランバーグとソードランドの紛争ではソードランド側に立つと明言。
「ランバーグの核開発については我々も情報を持っている。ベアトリス女王を非難する」と明確に発言した。熱烈な拍手。
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 静謐のマレーニェフ

 続いてコンタナ連邦書記長のレオン・マレーニェフ・チャバタンガクンウァ。彼はアルカシアの脅威について静かに話した。ATO諸国はさかんにヤジを飛ばし、マレーニェフの発言をあざわらった。
 そしてマレーニェフはランバーグ王国をATOと同列の脅威として扱った。私は拍手はしなかったが、ブーイングもしなかった。

 ANでの演説は終わった。
 どっと疲れた。ソードランドに対する軍用機撃墜の調査は行われるのか? そしてランバーグに対する核査察は行われるのか? それはまだわからない。あとは大使たちに任せるほかない。

 帰りの飛行機でウィシが私に言った。
「お疲れさまでした」
「ほんとうに疲れたよ。私が話しているときのベアトリス女王の顔を見たか?」
「すごい顔をしていましたね」
「就任以来で一番ヘヴィーな日だった」
「まだまだこれから選挙戦が控えています」
「そうだな」

「大統領閣下、ご自分の任期を振り返ってみて、どうでしたか?」
「やりたいと思ったことの2/3はできていない」
「あなたの改憲案は失敗しましたが、改革への道筋をつけました。それは評価されるべきです」
 改憲案の話はしないでくれ。

「キオスクで人々があなたのことを話していました」
「なんと?」
「過激な中道派だと」
 私は笑った。
「不思議な表現だな。そうかもしれないな。いや、その通りだ」
「選挙戦、勝つ自信はありますか?」
「絶対に勝つ」
「いいですね。リーダーはそうでないと」
 ウィシはなにか言い淀んでいるようだった。
「大統領閣下。この選挙戦が終わったら、私は引退します」
「そんな。あなたがいないと」
「アントン」とウィシは昔のように私の名を呼んだ。
「君に伝えるべきことは伝えた。私は老兵、去るのみだよ」

 私はウィシの希望を聞くことにした。
 彼は私の先生で、よき指導者で、友だった。ありがとう。
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 帰国して、自宅で夕食を取った。
 娘のデアナは科学フェスティバルで賞をとったらしい。将来が楽しみだ。
「前とね、先生の態度がちがうの」
「へえ。どう違うんだ?」
 男女均等教育の成果が出ているのだろうか。

 選挙戦の話になった。私が政治家を引退する気はないと言ったらモニカに驚かれた。
「なぜ驚く?」と私は言った。
「だって。あなたは政治向きの人じゃないわ。それは今回のことでよくわかったでしょう」
「そんなことはない。政治向きじゃないのは自覚しているが、まだ私は引退しない」
「負けることを知らない人ね」
 モニカはため息をついた。
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 ランバーグ、核兵器を所持(ジオポリティコ紙)

 さんざんすったもんだのあげく、ANの特別委員会がランバーグに対する査察を行った。その結果、核兵器の所持が確認された。そしてランバーグが要求したソードランドに対する調査は却下された。ランバーグには多くの分野での制裁が予定されている。
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 ATOとCSP、ランバーグに対する共同制裁へ(ジオポリティコ紙)

 アルカシアのウォーカー大統領とコンタナ連邦のマレーニェフ書記長が、連名でランバーグへの制裁を発動した。たった3日でランバーグの経済は崩壊した。

 そして戦争は起こらなかった。ソードランドはアルカシアとANの保護を得ていた。外交でランバーグを孤立させようという私の戦いは成功したのだ。

 思い知ったか、ベアトリス・リヴィングストン。
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 選挙戦はその最高潮に突入していた。
 私はテレビでの党首対談に出席し、野党の党首たちと話した。

 私は2期目も教育にフォーカスすると明言した。「教育なくしては国は滅びる」と。
 そして今期の実績を話した。
「経済をさらなる景気後退から守り、最低賃金を保障し、医療と教育の民営化を阻止し、男女均等教育を導入し、オリガルヒたちを逮捕し、ベルジアのブルド人問題に一応の解決を見た。そしてなにより、ランバーグからの侵略を防いだのです」

 それから団結について、祖国の統合について語った。ずっと私が語ってきたテーマだ。ソードランドを割ってはならない。内戦を起こしてはならない。そして私はそれに成功していた。
 支持率は低かったが、人々は私のやってきたことを見てくれている。そう信じた。
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 ついに選挙当日がやってきた
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 だが、ああ! 私は落選した。
 PFJPのフレンス・リクターが大統領となった。やはり人々は目に見える改革を欲していたのだ。第2党は国民戦線だった。USPは第3党に転落した。大敗だ。

 私は議員を続けた。だがUSPの退潮を招いた張本人として、政治力をほとんど失っていた。
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 私はむしろ、モニカ・レインの夫とみなされるようになっていた。女性の権利運動でモニカは指導的な地位を占めていた。ソードランドは変わりつつあった。

 政争に関与して敗れたのち、私は政界を引退した。そしてデイルの近郊に農地を買い、そこで農業を営むことにした。タウルス山脈から吹き下ろす強い風が、背の高いトウモロコシの茂みを揺らす。風や雨、病害と戦う日々は忙しく、別の世界に入ったようだった。

 兵役を終えたフランクに「一緒に農業をやってみないか」と誘った。フランクは少し考えたあとでこう言った。「いいよ、やろう。パパは結局は農民だったんだね」と。

 妻モニカは週の半分はデイルにいて、あとの半分は首都で政治活動をやった。デアナも首都の学校に進学した。彼女たちが話してくれる首都の噂もはるか遠い場所の話に聞こえた。私はやはりこの土地の人間だったのだ。
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 農閑期には筆を取った。回想録を書き始めたのだ。
 私は内戦について書いた。ターキン・ソルとの思い出について書き、ペトル・ヴェクターンについて書き、大臣たちとの会話を書いた。ソードランドがもっとも危機に瀕していたときのことを、すべての苦悩と決定について書いた。起こらなかった戦争について書き、いかにしてそれを回避したかを書いた。
 
 私は決してよい大統領だったとは言えないだろう。後悔がないといえば嘘になる。だが、ソードランドのためにすべてを捧げた。そこには真実がある。そして数年後、回想録は完成した。その回想録の題名は『デイルの農夫の息子』。

 売れ行きにはそれほど期待していなかったが、どういうわけか本は売れた。今になってもまだ売れている。きっと皆、あの激動の時代について思うところがあったのだろう。私はたまたまその時代に大統領を務めていたのにすぎない。人々は自分の生きた時代の証が欲しかったのだ。

 ああ、よかったら1冊持って行きたまえ。なにかの話の種にはなるだろう。サインがほしい? では、すぐに書こう。
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(終)
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 ヤングソード団所属の貧しい若者から、引退した中道政治家へ
 意識したわけではないが中道を歩んだ
 おかげで敵は少なかった
 終盤は4回やりなおした
 失敗も多かったが、祖国を守れただけでもよしとしよう
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 A Morgna wes core!

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 家で夕食を温めていると、息子のフランクが電話をかけてきた。兵舎からかけているという。軍隊のいろんな話を聞いた。

 兵役に取られて腐るでもなく、フランクは自分の運命を受け入れているようだ。むしろ、受験勉強をしていた時より声が明るい。彼に必要だったのは、自分を1人の男として試してくれる環境だったのかもしれない。
「ママはいないの?」
「ママは例の女性十字軍で忙しい」
「じゃあよろしく言っといて」
 そう言って息子は電話を切った。
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 大統領の子息、前線へ(ホルソード・ポスト)
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 フランクの部隊は北のランバーグ国境に駐屯している

 その晩、寝ていると電話が鳴った。
 発信元を聞いて、私の頭はすぐに覚醒した。国防省からの電話だ。

 運転手のウォルクナーがすでに自宅前で待っていた。すぐに車を飛ばし、大統領府へ。
 どの部屋もひどく混乱していた。執務室に着く。私の閣僚たちが早口で話し合っている。
「状況を!」
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 クルーガー将軍が口をひらいた。
「ランバーグ軍の対空火器が我が軍の航空機を撃墜しました」
「どこで?」
「ハルゲン近郊のソードランド領空内です。ランバーグ軍は国境ぎりぎりに展開していました」
「我が領空内というのは確かなのか?」
「この地点です」
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 来るべきものが来た。
 ランバーグが攻めてくる。
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 ランセア国防相が言った。
「大統領閣下、ご決断を!」

 そうだ。決断しなくてはならない。
 動員をかけるなら今しかない。動員が遅れたら、我が軍は圧倒的に不利な戦力でランバーグと戦うことになる。

 だが、動員は誤ったメッセージにもなりえる。もし女王ベアトリス・リヴィングストンに戦端を開く意図がなかった場合、私の命令によって戦争が始まることにもなりかねない。

 かといって何もしないのは、これもまた誤ったメッセージだ。ソードランドには戦う用意があることをはっきりと示さねばならない。

 私は決断した。
「動員はしない。かわりに報復しろ。やられた分だけやり返す。方法の提案を求む」
 クルーガー将軍が答えた。
「国境の敵基地を空襲し、駐機している軍用機を破壊しましょう。人的被害なしに強いメッセージを伝えることができます」
「越境攻撃は政治的リスクが大きすぎる。ランバーグ軍機による領空侵犯はまだ続いているのか」
「はい」
「ではそれを撃ち落とせ。ソードランド領空内でだ」
 クルーガー将軍はうなずいた。
「ほかに提案は?」
 ランセア国防相が手を挙げた。
「すみやかに首都で軍事パレードを行い、女王を威嚇しましょう」
「準備しろ。ほかに?」

 外相デイヴィド・ウィシが手を挙げた。
「大統領閣下、報復はよい選択肢ではありません。挑発に乗ることで我々が悪者にされかねません」
「わかるが、何もしないことによるマイナス要素の方が大きい」
「あとになって『我々は潔白だ』と言える立場を保つことが重要です。撃墜を非難するにとどめ、外交的に優位に立ちましょう」
「外務大臣。あとではなく今、強いメッセージを伝えることが必要だ。あなたの案は却下する」

 ウィシは食い下がった。 
「ひとつだけ。ランバーグは核保有国です。同盟国がアグノリアしかない状況で、核保有国と対峙するというのですか」
「核恫喝に屈することはできない。もし報復しなければ、彼らは使えもしない核へのエスカレーションをちらつかせて、我々から最大の譲歩を得ようとしてくるだろう」
「大統領閣下、核が実際には使えないというのはあなたの願望です。ランバーグが保有する戦力はすべて使われる、という前提で考える必要があります。核の使用を防ぐことができるのは外交だけです」
「私はそうは思わない。議論は以上だ。国防相と将軍は残れ。細部を詰めたい」
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 敵機を領空内で撃墜

 すみやかに作戦は実行された。
 我々はランバーグ王国の戦闘機を撃墜した。当該の敵機はソードランド領空内、ハルゲン市の上空を飛行していたとランセア国防相は報告している。
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 翌日、新聞記事を示しながら、ランセア国防相が言った。
「ランバーグ側はわれわれが越境攻撃をしたと主張しているようですな」
「嘘つきどもめ。奴らはさらに状況をエスカレートさせてくると思うか?」
「こちらが弱さを見せればそうするでしょう。わが軍はランバーグの侵攻を跳ね返すだけの力があります。強気の態度を維持してください」
「わかった」
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 ところがその日のうちに急展開があった。
 アルカシアからの使節派遣のオファーがあったのだ。いや、使節ではない。ドワイト・ウォーカー大統領自身が私に会いにくるという。
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 ドワイト・ウォーカー:アルカシア大統領。西側諸国の盟主。ランバーグからの移民の子孫で、成功した政治家・ビジネスマン。ウォーカー・プランとして知られる対外援助はメルコパ諸国の経済をよみがえらせた
 
 どっと力が抜けた。
 救われた! ATO加盟が無理でも、会談でアルカシアのプレゼンスを印象づけられればランバーグに対する大きな警告になる。アルカシアは東メルコパに目を注ぎ、必要があれば介入するというメッセージを出そうとしているのに違いない。
「丁重にお迎えしろ」
「気をつけてください。ただでは取引しない男です」
 ランセア国防相は言ったが、その警告は私の耳には入らなかった。

 レセプションは盛大に執り行われた。ジャズ。ダンス。酒と葉巻。世界で最も強力な国の、最も強力な男。ドワイト・ウォーカーは私とモニカを魅了した。
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 ウォーカーは言った。
「私がここへ来た理由はわかっているね?」
 私はうなずいた。
「アルカシア条約機構ATOに貴国を招待したい」
 ノーという選択肢が存在するだろうか? 任期の初めから目指していた目標がここに達成された。援助を受け入れ、空軍部隊の進駐を進めてきた努力が実った。
「招待にお応えします」

 こうしてソードランド共和国はあっさりATOに加盟した。だが、その代償はなんだろうか?

 空港でウォーカー大統領を送り出したあと、急に不安がつのってきた。報復でランバーグ軍用機を撃墜したのはやりすぎだったのでは? ATOに加盟できると知っていたら、私は報復を命じなかっただろう。このことがあとでアルカシアとの関係上問題になりはしないか?

 それにアルカシアは核保有国のランバーグとことを構えたくないだろう。紛争の火元のソードランドはATOを追放されないか?
 どんな状況にあっても心配の種は尽きないものだ。きりきりと胃が痛む。

 翌日、私はATO加盟スピーチを用意し、大統領府で会見にのぞんだ。
「本日、共和国はある重大な発表をおこないます。その内容は——」
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 閃光。
 窓のガラスが網目のように砕け、記者たちにふりそそぐ。一拍遅れて衝撃波が私を壁に叩きつける。私は潰れた喉で叫ぶ。
「モニカ! フランク! デアナ!」
 だが宮殿の天井は崩れ落ち、私を深く瓦礫の下に埋める。

 そこで目覚めた。私はベッドから転がり落ちていた。半分は恐怖、半分は安堵の声が出た。なんという悪夢だ。首都への核攻撃を夢に見るとは。

 昼間のATOへの加盟合意が夢に影響していることは疑いようもなかった。外相ウィシの言うとおり、ランバーグの核攻撃は現実の脅威だった。そのことを私は意識の底で知っていたのだ。
 そして共和国がATOに入った今、ランバーグによる我が国への先制核攻撃はアルカシアの核報復を呼び、事態は世界大戦につながりかねない。

 ベッドに座り、自分を落ち着かせるために強い酒を飲んでいると、モニカが酔って帰ってきた。キスするとジンの匂いがした。教育相シアラ・ウォルダとやけ酒らしい。議会との調整がうまくいかなかったとぼやく。
「君はだんだん政治家になりつつあるな」
 私がそう言うと、モニカはにこりと微笑んだ。
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 ATO加盟は大きな外交的ボーナスをもたらした
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 経済相サイモン・ホル
「経済については、小さなスケールですが成長しています」

 選挙戦へ向けて、現在の経済状況について会合があった。
 まず、私の公約では計画経済を目指していたが、実際は混合経済となっている。政治的余力がなく、基幹産業の国有化を進めることができなかったためだ。

 貿易は増加。生活水準は低下。製造業は指数が低下している。インフラはかなり改善されている。インフレ率は49%とかなり高い。負債総額はあまり変わっていない。政権が景気後退局面から始まったということを考えると、これは経済の崩壊を防いだということになる。

 失業率は16%にとどまっている。GDPは期初にくらべると横ばいだが、現時点での成長率はかなり堅調になってきた。
 サイモン・ホルは言った。
「よくやったほうだと思います。政策によっては泥沼はさらに深くなっていたかもしれない。しかし政権支持率はかなり低い20%となっています。正直申し上げて、再選は厳しい」
「クラヴィンにも同じことを言われたよ。だが戦うしかない」
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 選挙戦スピーチのためにアンリカ市へと向かう。
 車中、官房長ルシアン・ガラーデがオリガルヒのウォルター・トゥスクについての情報をもたらした。
「トゥスクの持つ子会社のひとつがランバーグ製の銃を国内で売りさばいていました。ブルド自由戦線BFFの銃の供給元はここです」

 トゥスクはもう終わりだ。よりによってランバーグ王国と手を組んでいたとは。裏切り者め。

 だが、これは吉報でもある。この情報は国際舞台でランバーグを追い込むのに役立つ。そう、私はペトルのあの事件以来、あらゆる手段をもってランバーグ王国を糾弾し、ベアトリス女王の野望をくじくことを決意していた。

「アンリカ市のみなさん! この3年半は試練に次ぐ試練の日々でした——」
 スピーチはうまくいった。私は再選と経済危機の克服について語り、反応はよかった。支持率は低迷しているが、できることをやっていこう。
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 OMEC:メルコパ経済開発機構。1921年創設。メルコパ大陸における諸加盟国間の調整を行い、経済発展と貿易振興を目的とする。

 さて、女王の野望をくじく機会が早くもやってきた。
 きたるOMEC総会で外相ウィシはランバーグ王国を糾弾し、その除名を要求する。
 ランバーグとソードランドとの緊張は国際的にも注目されていて、私は中立国キュルテのテレビ番組のインタビューを受けることになっている。おそらくその印象がOMEC総会での除名要求の帰趨を決めるだろう。そしてキュルテにおける諸国連盟ANの総会も近いのだ。

 外相ウィシは言った。
「とにかく貞正でいてください。ですが、すべてを話す必要はありません。おそらくランバーグ機撃墜について聞かれるでしょう。報復したと言うかわりに、敵機がソードランド領空を侵犯していたことを強調するんです。いいですか。『報復を命じた』は無しです」
「わかった」
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 トゥオマス・サッカー:キュルテから来たテレビインタビュアー。きわどい質問をすることで知られる。

「アントン・レイン大統領閣下。ソードランド軍はランバーグ軍機を撃墜していますよね。あなたは報復を命じたのですか?」
 いきなりつっこんできた。だがウィシの言うとおり、すべてを話す必要はない。
「意味のない質問です。まず『我々の』軍用機が我が領空内で撃墜されたのです」
「ランバーグ機の撃墜について聞いているんです。報復を命じたのですか?」
「当該機はソードランドの領空を侵犯していました。我が軍はそれに対処しただけです」
「ランバーグ当局は嘘をついていると? ランバーグ機がソードランド領空内にいたというのは本当に確かなのですか?」

 私の心に警戒音が響きわたった。
 確かに私はソードランド領空における敵機撃墜を指令したが、実際には軍はランバーグ領空を侵犯し、撃墜を行っていたのではないか? 私に上がってきた情報は不完全なものだったのでは? もしそうならこの質問にイエスと答えることで、私は取り返しのつかない嘘を国際社会に対してつくことになる。

 だが私はこう答えた。
「はい。ランバーグは嘘をついています。我が軍用機の撃墜についても、ランバーグ機の撃墜についてもです」
 トゥオマス・サッカーは書類を繰った。
「あなたの秘書がランバーグのスパイだったという嫌疑について聞きます。それは真実なのですか?」

 きた。
 今こそ攻めるときだ。
「すべて証拠があります。ランバーグの我が国に対する介入については広く知られるべきでしょう」
「事件はペトル・ヴェクターンの辞職、逮捕に及びましたよね。スパイ事件を口実に、ヴェクターン副大統領の排除を狙ったものだったのでは?」
 なんだと?
 私は怒りを抑えきれなかった。
 スパイ事件を口実に? 私がどれだけペトルについて悲しみ、後悔とともに彼を切ったのかこいつはわかっているのか?

 私の声は震えていた。
「スパイは実際にいました。知りたいなら教えましょう。スパイの名はイラナ・ヴァンス。ランバーグ王国官房第3部のエージェントです。資料はこのインタビュー後に公表します。なんならランバーグ王国軍の制服を着たイラナ・ヴァンスの写真もお見せしましょうか?」
 トゥオマス・サッカーは驚く様子すら見せなかった。
「彼女は『あなたの』秘書ですよね。あなたに責任はなかったのですか?」
「責任は感じています。このスキャンダルに対して我々全員が」

 トゥオマス・サッカーは話題を変えた。
 アグノリアとヴァルグスランドの領土紛争について。ウェーレンについて。スモラク大統領のブルド人絶滅政策についてソードランドが協力したのではないか。などなど。

 インタビューはかなりの重圧だった。
 そして余計なことを言ってしまったのではないか?という疑いが私の心を暗くした。撃墜されたランバーグ機がどちらの領空にいたのかという件だ。
 自分の記憶すら怪しいと思い始めていた。そもそも本当に私は領空内での撃墜を命じたのか?
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 ランバーグ王国、OMECから除名(ジオポリティコ紙)
 ついにやった 

 外相ウィシはOMEC総会でランバーグを糾弾した。私のテレビインタビューは成功し、メルコパ諸国の支持はソードランドと共にあった。

 そして他の代表からも、自国に対してランバーグの介入が行われているという発言があいつぎ、ランバーグ代表は窮地に立たされた。総会は賛成多数でランバーグ王国の除名を決定した。リジア王国といくつかの国だけが棄権した。その知らせを聞き、私は思わず快哉を叫んだ。
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 うれしいニュースがもうひとつあった。
 私の故郷デイルのブルド人たちが私を支持してくれている。ブルド人が現職のソードランド大統領を支持するということの重みを知ってほしい。これまでの共和国史上なかったことだ。
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 デイル市の市長選でもUSPの市長が当選した

 私はエルザレンでのあの沈黙の瞬間を思い出していた。『わかってくれたか』という感慨に私は満たされた。

 マンソウン・レケとともに、ブルド人政治犯の恩赦やマイノリティ権利委員会の設置に動いたのも効いているだろう。彼は穏健な手段でブルド人の権利を拡大することを目指しており、手を組みやすい相手だった。
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 そして前党首が毒を盛られたため、マンソウン・レケがブルディア労働党WPBの党首となった。強硬路線を取っていた前党首の引退になんらかの力が働いたのではという疑惑もあるが、私の知るところではない。
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 しばらくして、内相リレアス・グラフにアルヴォリーにある彼女の屋敷へと招待された。
 静謐で、格式のある屋敷だった。彼女の厳しい性格はここで形作られたのだろう。私たちは食事を取り、話した。

 彼女は言った。
「いろいろ不満はありましたけど、来期も一緒に仕事をできればと思っています」
 彼女はあまり他人を褒めることがない。だから、それは私にとっての最大の褒め言葉だった。彼女はつねに私のそばに控え、忠義を尽くしてくれた。ありがとう。
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 首都での軍事パレードに出席した。
 国防相イオセフ・ランセアはこの日のために共和国軍をぴかぴかに磨き上げたらしい。ひな壇上にはさまざまな制服を着たATO加盟国のアタッシェたちもいる。このパレードはランバーグ王国に対する強い警告となるだろう。いまやソードランドはATOの一員なのだ。
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 そしてひな壇にはターキン・ソルの姿もあった。しかと見てくれ、私の祖国の軍人たちを。
 私は誇りをもって、兵士たちに敬礼を送った。


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