Unhistory Channel 152 - パラドゲー記録

Paradox Interactive, Crusaderkings3, AAR

お祖父様は長生きだった。
76歳まで生きたの。信じられる? とにかく元気な人で、まさか死ぬとは思わなかった。まあそれは冗談だけど。
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フェルナン・マヌエレス・ヴィマラネス。
彼のような人にも赤子の頃があったというのは想像しづらい。でも彼もやはり人の子で、アルパイスというオック人の踊り子の腹から生まれた。

ひいお祖父様のマヌエルの遺言によってアルパイスは後見人に指名されていたんだけど、彼女に公領の実権はなかった。2人目の男子を産んだあと塔のひとつに押し込められて、そのあとの記録はない。
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アルパイスを押し込めたのは4人の家臣たち。
尚書長グテーレ・デ・ブラガンサ、家令のマヌエル・ダヴィデス、マレシャルのベレンゲル・ヴィマラネス、密偵長のポンセ・アンドレス。彼らはポルトゥカーレ4人衆と呼ばれた。

4人衆は協議をしたり、ときに争ったりしながらポルトゥカーレ公領を支配した。とにかく国を割らないように、家を割らないようにするのが彼らの務めだった。そして暗殺されないように慎重にフェルナンを育てていく務めもあった。
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もし暗殺されてもまだ矢弾はあった。
アルパイスが生んだ弟のギリェルメがいたし、次にアドシンダ、さらにアドシンダの新しく生まれた息子ディエゴがいた。
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 4人衆のひとり、ベレンゲル・ベレンゲレス・ヴィマラネス
 忠勤に応えてアヴェイロ伯領を与えたので関係は良好

実はベレンゲルは妻アドシンダが公領を継承できなかったのに思うところあったようで、なにかしでかすのではないかとみんな思っていた。
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 ベレンゲルがなにかたくらんでいると思ったが……
 疑ったことを謝罪し、税を軽くすることになった

結論からいえば、ベレンゲルはおとなしくしていた。伯領をもらって満足していたのかもしれない。
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仮に恨みがあったとしても、動くべき時ではなかった。
記録によれば、その当時のレオン王アルフォンソ9世の兵力はたったの4300しかなかった。

それに対してセビーリャのモーロ人の王ムハンマド・イブン・ムハンマドは5400の軍勢を持っていた。さらにモロッコのタシュフィン朝のアッバス・イブン・アッバスは4400の兵力に加えて5つもの同盟国があった。キリスト教徒同士で争っていられる状況ではなかったの。
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お祖父様が7歳になったころ、密偵長のポンセ・アンドレスが指導役となった。ポンセは学識豊かな人で、文字も書けたし本も読めた。なんとアラビア語まで話すことができた! お祖父様は彼のもとで勉学に励むことになった。
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公領をとりまく情勢は暗かったけど、お祖父様はのびのびと育ったみたい。宮廷には子供が多く、遊び相手には事欠かなかったようで、弟ギリェルメや親戚のディエゴと親友になったり、猫や犬を何匹も飼ったりしていた。そのころの楽しい話はわたしもお祖父様から何度も聞いたな。
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 Compassionateを獲得

こんな話がある。
お祖父様はポンセ・アンドレスと歩いていて、城門の近くで晒されている罪人を見つけた。お祖父様は彼に近寄り、話しかけた。罪人が水を欲しがっていることを知ると、お祖父様は近くの井戸から水を汲んできて罪人に与えた。

ポンセはそのことでお祖父様を叱った。罪人は罪をつぐなわなければならないこと、支配者として法を厳格に執行しなくてはならないことについて。

きっと優しい子だったのね。
そう、未来の公としては優しすぎた。そのせいでお祖父様は残酷なことができない人になってしまった。

平和な時代ならよかったかもしれない。
でもお祖父様の生きた時代は戦争につぐ戦争があった。国境がめまぐるしく動き、多くの騎士が死んだ。ヒスパニアの情勢はどんどん暗くなり、より悪い時代が近づいてきていた。
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 1185年、1回目の防衛戦
 5300vs2100

まずアルガルヴェのガルシヤ・イブン・アブダが国境を越えて攻めてきた。セビーリャのムハンマド・イブン・ムハンマドもこれに加わった。
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ポルトゥカーレ公領は合議の上、レオン王の召集に応えて参戦。
ベレンゲル率いるポルトゥカーレ公軍はセビーリャの戦いに勝利し、王の勝利に貢献した。
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 フェルナン12歳となる
 成人に備えてザクセンのノルトハイム家クニグンデ姫と婚約
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 1187年、2回目の防衛戦
 9500vs13000

そして今度はタシュフィン朝のアッバス・イブン・アッバスが攻めてきた。砂漠の向こうからも援軍がきた。
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このいくさでは多くの騎士たちが散ったと聞いてる。
特にマレシャルのベレンゲル・ヴィマラネスが戦死したという知らせは宮廷の人々を恐怖に落とし入れた。モーロ人たちが明日にもポルトの城を包囲してくるのではないかとみな思っていたそう。
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 フェルナン成人
 「明敏な知性」traitを得る
 学問ライフスタイルを進めていく

いくさが激しくなる中、お祖父様は成人した。
レオン王から騎士に任じられ、ポルトゥカーレ公位につくことを宣言した。結婚式をあわただしく済ませ、軍を率いていくさの庭に出た。

お祖父様がわたしに話してくれたのは、若い公があまたの長旗をなびかせてモーロ人との戦いにおもむくところ。男たちは銀色にきらめく鎖帷子を身につけ、明るい声で進軍の歌が歌われ、村娘たちは彼らにむかって花を投げる……。
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もちろん現実はもっと地味だったに違いない。
いくさの趨勢もぱっとしなかった。ポルトゥカーレ公軍はバダホス周辺を占領して対抗したけど、とんでもない大軍勢を繰り出してくるモーロ人相手のいくさは勝ち目がない。
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それから戦いは5年続き、ようやく白紙和平が結ばれた。死に物狂いで戦って今回もなんとかモーロ人を撃退したというわけ。誰もかれもいくさに疲れていた。
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 1192年、3回目の防衛戦
 3800vs3300

和平を待っていたかのように、またもアルガルヴェのガルシヤ・イブン・アブダが攻めてきた。戦いには勝ったんだけど、お祖父様は闇を内に抱え込むことになった。
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というのも、レオン王の命令で捕虜を殺すよう言ってきたの。
お祖父様は残酷なことができない人って言ったの覚えてる? でも命令には従わなくてはいけない。みずからの性質に反して何人もの捕虜を殺してしまった。お祖父様は死ぬまでこのことを悔いていたわ。
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 Compassionateなのに捕虜をたくさん殺してしまい、ストレスレベル1に
 暗殺もできないので、先見の明のないtrait獲得だったといえる
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いくさのあいだ、お祖父様は妃クニグンデとのあいだにエヴァとマイオールの2人の女子を作っている。いくさ続きで閨に入る暇はなかったように思うんだけど、まあどうにかしたんでしょう。
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このころ弟のギリェルメも成人した。
お祖父様とギリェルメはそれはそれは仲がよかったそうよ。
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 1193年、陰に陽にレコンキスタを支えてきたフランス王国が分裂
 フランス(ロラード派)とバレンシア(カトリック)に

お祖父様が最初の反攻に出たのは主の1194年。
アルガルヴェのガルシヤ・イブン・アブダに宣戦したの。ガルシヤ・イブン・アブダはさきの戦いで兵力をすり減らしていたので、好機とみたのね。
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戦いはすぐ終わり、翌年アルガルヴェはポルトゥカーレ公のものとなった。こうしてお祖父様はヒスパニアの南岸まで打通した最初のキリスト教領主となった。
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 1201年、4回目の防衛戦
 9500vs22300

それからまたまた、またモーロ人が攻めてきた!
今度はタシュフィン朝のアッバス・イブン・アッバス。こうも頻繁に攻められるのは、君主であるレオン王アルフォンソ9世の兵力が少なく、要は舐められていたからだと思う。
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しかもいくさが始まってすぐ、次女のマイオールが殺されるという事件が起きた。犯人はわからなかった。ただ噂があった。弟のギリェルメが下手人だという……。
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 なんということを

この噂が正しかったとしても、必死の防戦中ゆえ、お祖父様はなにもできなかったと思う。ただお祖父様はこのことを深く心に刻みつけ、忘れなかった。
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 1205年、敗戦
 レオンは王国中心部を強制独立させられ弱体化
 またムハンマド朝はカスティーリャを中央山塊の北へ追いやった
 タシュフィン朝臣下だったバダホスが独立している

そして結局いくさには負けてしまった。
お祖父様はサモラ領とベネヴェンテ領を失い、タシュフィン朝の要求によりレオン王国からレオン公国が分立した。
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ベルナルド・アルフォンセス、つまりレオン王アルフォンソ9世の弟が新しくレオン公となった。タシュフィン朝は彼の請求権を使って戦争していたのだろうか? 今となってはくわしいことはわからないけど、おかげでただでさえ足元の危ういレオン王国はめちゃくちゃになってしまった。

だがお祖父様は転んでもただでは起きない人だった。
タシュフィン朝に臣従していたバダホス(かつてのアフタス朝のことだ)が自立していたので、これをすぐに攻めた。そして弟ギリェルメに先陣を切らせた。
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 メデジンの戦いでギリェルメ負傷
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しばらくしてギリェルメは戦いの傷がもとで死んだ。弟であり親友だったギリェルメ死亡の知らせを、お祖父様はどんな顔をして聞いたのだろう。
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 1207年、どさくさにまぎれてバダホス奪取

いくさに勝ったのでバダホスはポルトゥカーレ公のものとなり、お祖父様はかつてのアフタス朝の都をついに手に入れた。

お祖父様がバダホスに入城して初めてやったことは図書館の略奪だったと聞いてる。たくさんのアラビア語の書籍をロバに積んでポルトへ運ばせ、書字生を集めてこれを翻訳させた。
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特に関心があったのは本草学と医学で、自分でも何冊か訳したらしい。長生きできたのはそういった勉学のおかげだったのかもね。
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そのころレオン王アルフォンソ9世が亡くなり、息子のアルフォンソが10世王となった。お祖父様は先王と友人だったので大きな衝撃を受けた。

友人が死ねば誰でも悲しいものだけど、お祖父様の悲嘆は人並みではなかった。しかも友人が死ぬごとにこれが繰り返された。思うに、領主としてはあまりに優しすぎたんだろうね、お祖父様は……。


ある日、俺はマヌエル叔父さんに呼ばれた。
ディエゴのことだと思ったな。彼の最後の様子を話してくれと頼まれるに違いないと思った。

だが違った。彼はこう言った。
「ベレンゲル、結婚を承諾してほしい。おまえの結婚だ」
そう、マヌエル叔父さんは死者のことではなく、次の一手をすでに考えていた。
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「わが孫娘アドシンダを娶ってほしいのだ。彼女はまだ子供だが、数年後には成人する。アドシンダは次代のポルトゥカーレ女公になるだろう。彼女をよく補佐してほしい。できるか」

俺はどう答えればよいのかわからなかった。
俺は一騎士として生き、死ぬのだと思っていた。俺が女公の夫になるだと? それにアドシンダはまだ10歳、俺にとってはディエゴの残した忘れ形見だ。
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「聞いてくれ、今のままではアドシンダと私の4人の娘によって公領は5分割される。4人の娘たちはすでに育ち、他家に嫁いで子供がある者もいる。つまり、分割された領地の4/5が他家に渡る可能性があるということだ。

だが、おまえとアドシンダの結婚で男子が生まれれば、すべての領地を彼に集中させることができる。言っていることがわかるか?」

わかる。
だがあまりに身勝手ではないか?
俺を結婚させずに放置していたのはこのためだったのか?
だが俺はさまざまな思いを飲み込んで言った。

「わかった。叔父さんの言うとおりにしよう」
「そう言ってくれると思っていた。ありがたく思うぞ、ベレンゲル」

そしてその日から宮廷での俺の扱いが変わり、ただの騎士から未来の公に対するものになった。悪い気分じゃなかった。だが、態度を変えなかった少数の者たちのほうが信用できると思ったな。
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 同時に紋章学の研究を進める
 仮にアドシンダに男子が生まれなくても、継承法をhigh partitionに変更し公位と過半数の伯領をアドシンダに集中させる見積もり

立場が変わっても、俺は戦場に出続けた。
ポルトの宮廷で戦場の知らせを聞くよりそのほうがよかったし、なにより俺はその地位にふさわしい男であることを証明する必要があったからだ。
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 1161年、アヴェイロ防衛戦

戦場にはことかかなかった。
アルカセル・ド・サルでの大規模なモーロ人の反乱があったし、レオン王臣下のサラマンカ伯エルメネギルドとカスティーリャ・ラ・ビエハ公ポンセ(モサラベのカスティーリャ王とは別)がガリシア王国に攻めてきていたからだ。

マヌエル叔父さんは娘ファキーロの結婚によってレオン王アルフォンソ8世と同盟を結んでいたが、敵はレオン王臣下なのでレオン王との同盟は役に立たなかった。
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戦いは一進一退だった。だが主君のガリシア王サンチョ2世が決戦で敗北し、囚われの身となった。何をやっているのか……。

身柄と引き換えにあえなく和平が結ばれ、ポルトゥカーレ公領は領土の中心にあるアヴェイロ伯領を取られてしまった。
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さらにレオン王臣下のアストゥリアス女公ウラッカがポルトゥカーレ領アルカセル・ド・サルを求めて宣戦してきた(なぜそんな請求権を持っていたのかは不明だ)。彼女はマヌエル叔父さんの同盟相手だったというのに!

これはまずいと俺は思った。
ガリシア王サンチョ2世は直轄領が少なく、軍勢も640と少ないので舐められているのだ。このままではレオン王の臣下やモーロ人にかわりばんこに宣戦され続ける未来が見える。

だが事態は俺の予想を超えてすばやく展開していた。
マヌエル叔父さんはすでに多方面に手を打っていた。
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 ガリシア王に対する独立派閥を開始
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 Military Power215%を叩き出す

まずマヌエル叔父さんは王に対して奉仕の終了を宣言し、ガリシア王国から離脱。宣言は拒否されたが、王都コルーニャを迅速に制圧、独立を王に認めさせた。
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 さらばガリシア王
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 1162年、独立したポルトゥカーレ公国

返す刀でアストゥリアス公領オビエドに進撃、これを包囲し戦勝。女公ウラッカに手を引かせた。
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そして満を持して娘婿のレオン王アルフォンソ8世に臣従。長女である王妃ファキーロが間を取り持ってくれたという。マヌエル叔父さんはレオン王国の家令を任じられた。
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 1162年、レオン王国
 ポルトゥカーレ公領とカスティーリャ・ラ・ビエハ(中央山系北側の旧カスティーリャ)を押さえヒスパニアの強国となった

ところが臣従早々にカスティーリャ・ラ・ビエハ公のポンセが王に対する反乱を持ちかけてきた。
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 カスティーリャ・ラ・ビエハ公のポンセ
 5伯領を領する強力な公、うまが合わない
 liberty warをレオン王アルフォンソ8世に仕掛けている

王権が弱くなるのはポルトゥカーレ公としては得になる話だが、マヌエル叔父さんはポンセが気に食わなかったらしい。アヴェイロ伯領を取られたときの恨みもある。そこでマヌエル叔父さんは王に合力してこれを叩き潰した。
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そのほかにも馬上槍試合でアストゥリアス女公ウラッカに辱めを受けたとか、いろいろあったらしい。総じてレオン王の臣下はマヌエル叔父さんのことを快く思ってはいなかったようだ。
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 サラマンカ伯エルメネギルドに対して宣戦
 取られたアヴェイロを回収する
 レオン王臣同士の戦いなので勝利は容易だった
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 ヴィマラネス家の名声が1000に到達
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主の1167年、アドシンダが成人し、俺と彼女はポルトのカテドラルで婚礼をあげた。彼女は……そう、幸せそうではなかった。そして自分の責務の重さに押しつぶされそうになっているように見えた。誰もが彼女ではなく、彼女が産むだろう男子のことを考えていた。

「あなたもそうなのでしょう」
アドシンダがそう言うので、俺はうなずいた。
「それはそうだ。血をつなぐことは貴族として生きる者の定めだからな」
そう答えると、彼女は目をそむけた。
「だが、誓おう。今日この日から俺はおまえの味方だ。全身全霊をかけておまえを守る。そして愛そう」
「それは簡単に言ってはいけない言葉です」
「では、行いで示すとしよう」
「いいでしょう。それは気に入りました。わたしも行いで証を立てることとしましょう」
そうして俺たちは口づけをした。
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 ここで一族の遺産を取得
 宮廷の良い客人と結婚承諾度upで悩んだが、
 「高貴な血」の遺産を得た
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 1169年、ムハンマド朝からエヴォラを奪取
 直轄領は6伯領となる

孫娘の結婚で一息ついたのか、マヌエル叔父さんは急に老いたように感じられることがあった。彼はすでに歳を取っていた。その判断が鈍ってきていたのかもしれない。

俺は以前からバダホスを取るようマヌエル叔父さんに進言していた。だが彼は動こうとしなかった。
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そうするうちに主の1172年、バダホスに残っていた最後のアフタス朝を、イフリーキーヤからやってきたタシュフィン朝(ムラービト朝の後裔だ)が征服してしまった。
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 アル=ウマラー・アッバス・イブン・アッバス・イブン・タシュフィン
 ベルベル人のブトゥル氏族出身

アルアンダルスのモーロ人勢力が呼び込んだものだろうか。強力な隣人の出現にポルトゥカーレ公領では緊張感が高まった。こうなる前に取っておけばよかったのに……。老いると重要な決断、とくにいくさに関する決断ができなくなるのだと知った。
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マヌエル叔父さんも焦りがあったのか、しきりに寿命を気にしていた。急に薬学や本草学に興味を示したりなんかして。若いうちから学問をやっていれば違ったのだろうが、いまさら付け焼き刃でやっても何にもならない。
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 名声には限りがあるので廃嫡もそう連発できない

驚いたのは、長女のレオン王妃ファキーロと次女アルドンサを廃嫡して継承から外したときだ。なりふりかまわなくなってきたなと俺は思った。妃をないがしろにされたレオン王がどう思うだろうか。もちろん怒るに決まってる。
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 紋章学の研究が終わり、high partitionが可能になる

次にやったのは継承法の変更だ。
説得のかいあって、アドシンダが過半数の伯領を受け取ることを認める封臣は増えてきていた。だがモンテモールの市長グテーレだけはこれを認めようとはしなかった。

俺はマヌエル叔父さんに頼まれてグテーレを説得した。さらに金を送るなどして継承法の変更を認めさせることに成功した。
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 アドシンダ、過半数の4伯領を確保
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 その他、3女サベラに1領、4女ヴィスクラバラに1伯領

これによって、わが妻アドシンダは公位と4伯領を受け取れることになった。
「負う重荷を増やしてしまったな」
冗談めかしてそう言うと、アドシンダは答えた。
「もう覚悟はできています。公位といわず王位でもくださればよいのに」
「おそろしい女だ」
俺がそう言うとアドシンダは笑った。
めったに見せない笑顔は驚くほど美しかった。
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主の1173年の暮れ、ポルトゥカーレ公妃のファキーロ叔母さんが亡くなった。いつも明るく元気な人だった。マヌエル叔父さんはかなりの打撃を受けたように見えた。
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そして俺たちヴィマラネス家をさらなる衝撃が襲う。
教皇エウゲニウス3世がマヌエル叔父さんを破門したのだ!
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ヴィマラネス一族はその長い歴史の中で初めて破門者を出してしまった。だが罪状を聞いてみれば身に覚えのないものばかり。

そもそも主の御名においてレコンキスタを最前線で戦ってきたヴィマラネス家が糾弾されるいわれは何もない。おおかた敵対する諸侯が教皇に破門を依頼したのだろうと思った。

この読みは当たっていた。アストゥリアス女公ウラッカが裏で動いていたのだ。妃を廃嫡されたレオン王アルフォンソ8世も一枚かんでいた。陰険なレオン貴族どもめ。
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それからひどく悲しいことがあった。
アドシンダが懐妊したものの、子は生まれる前に亡くなってしまった。俺は彼女の手をとって泣いた。

アドシンダが無事なのがまだ幸いだった。もし彼女が死んでしまったら俺はどうすればいい……。
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そんなことが続いたもので、マヌエル叔父さんにはかなりの心痛だったらしい。毎日宴を催し、たくさんのワインを浴びるように飲み始めた。そして……そしてあの女がやってきたんだ。

主の1175年春、いつもと同じように酒宴を催していたマヌエル叔父さんはオクシタニアから来た一人の踊り子に目をとめた。叔父さんは彼女に一目惚れし、そしてこれを新しい妃にすると言い出した。
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踊り子の名はアルパイス(その名、呪われてあれ!)。
これまで公妃ファキーロのよい思い出とともに過ごしてきた宮廷の人々は声を合わせて反対した。でも結局は公であるマヌエル叔父さんの意見が通り、二人は結婚した。
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もはやマヌエル叔父さんはまともではなかった。
すでに死の兆候が見え始めているというのに、新しい妃とは。それもただの踊り子だ。

そして彼女はすぐに懐妊し、男児を出産した!
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 アルパイス妃、フェルナンを産む

すべてが変わった。
すべてが変わってしまった。
俺のしてきたことは、アドシンダの決意は、いったいなんだったのか?

このフェルナンという赤子がポルトゥカーレ公位とすべての直轄領を継承するのだ。すべては無駄だった。マヌエル叔父さんは最後の最後にやらかしてくれた。俺は激怒し、怒りすぎて倒れるかと思った。待ってくれ、話していてまた怒りが湧き上がってきた。おお神よ。
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 主の1177年、マヌエル死亡

マヌエル叔父さんはそれから1年もたたずに死んだ。公位はフェルナンが継承し、アルパイスが後見人となった。マヌエル叔父さんの話はこれで終わりだ。終わりにさせてくれ。


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