ゴンドールを討て
ブルフ=エルマナリキスの町は大祭に湧いていた。
一年に一度の葡萄の収穫を祝うもので、最初に摘み取った葡萄の房は『大地の妃』ヤヴァンナに捧げられる。
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 東国ではヤヴァンナ信仰がさかん
 ヤヴァンナの造ったエント女についての伝説もある

ドルイニオンの葡萄は甘く、それから作られた葡萄酒はよい。リューンの民はもともと米の酒を愛飲していたのだが、ドルイニオン征服後はすぐにこの新しい酒に夢中になった。
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リューン王ウイグルタイもこのドルイニオンの葡萄酒を愛した。ときおり飲みすぎることもあったようだが、父親ハルガスンとは違い、節度を忘れて喧嘩に及ぶようなことはなかった。
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ウイグルタイはハルガスンの長男である。
武勇をたっとぶ東国の民の伝統にしたがって育ち、勇敢な戦士、すぐれた指揮官となった。誇り高く、野望に満ち、精力的に王のつとめをこなした。
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 尚書長ガエラグラルはミナス・モルグルに常駐
 サウロンなきあとのオーク勢力と友好を結んだ

父親の代からの忠臣、アガーシャ=ダグの族長ガエラグラルはウイグルタイをよく支えた。また弟のタガイは軍団長として東国の兵を総監。ウイグルタイの治世はこの二人なくしては立ち行かなかったことだろう。
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 11399年のリューン

さて、すでに述べたようにウイグルタイには野望があった。
かつての馬車族のようにゴンドールへ侵攻し、ヌーメノール人を打ち据えようというのである。

しかしゴンドール王は25000もの兵を有している。
リューンの兵力のほぼ2.5倍にあたる大兵力だ。
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 ゴンドールのエレスサール王
 総兵力25000のうち9000はイベントスポーン兵
 これを削っていけば勝てるかもしれない
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そこでウイグルタイはひろく東国人に呼びかけ、ゴンドール包囲網を形成した。一朝事あれば谷間の国からハンドにいたる東国の民がいっせいに立ち上がるであろう!
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 尚書長ガエラグラル

「ゴンドールへ侵攻するためにはさらなる兵力が必要です。いまそれだけの兵力を涵養することができる地帯はひとつしかない。モルドールの心臓部です」
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そう、バラド=ドゥアオロドルインを中心とするモルドール心臓部を奪取できれば、リューンの兵力は倍増するだろう。ウイグルタイはガエラグラルの進言をいれ、この地域への侵攻をめざすことにした。
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ゴンドールに対して闘志を高めるウイグルタイを、弟タガイが訪ねてきた。
リューンの強兵策についてのあらたなアイディアだろうか?
そうではなかった。

「兄上、あなたの妃マリナ様をなんとかしてください」
「どうした、弟よ」
「彼女はわたしを軍団長からはずそうと画策しています」
「馬鹿なことを言うな。わたしの軍団長はおまえしかいない」
「それを彼女に言ってやってください。マリナ様は自分の息子ブリをあらたな軍団長にしようとしているのです。
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 妃マリナ、タガイを軍団長からはずそうとする

タガイの訴えは真実だった。
そこでウイグルタイは妃をしかり、タガイこそリューンの軍団長であると言ってこの一件を終わりにした。しかしこのことがあってから、リューンの宮廷はタガイ派閥とマリナ派閥にわかれてしまった。
 
西方の不穏 
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11402年、西方で大きな動きがあった。
ゴンドールが北方王国アルノールをその版図から分離したのである。
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 エレスサール王と夕星妃アルウェンの娘インディス

あたらしいアルノールの高王にはゴンドール王女インディスがついた。
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しかしエリアドールの北部にはナン=アングマール、カルン=ドゥム、グンダバドの3オーク王国がある。これと対峙していくのにはアルノールはあまりにも弱体だ。

「ゴンドールは北辺の防備をあきらめたのではないか」
「北部王国の切り捨てではないか」

街道筋ではそんな声もささやかれだしていた。
遠い国のどうでもいいうわさ。
しかしこの事件は後になってリューンにも影響を及ぼすことになる。
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ほかにこんな事件もあった。
ウイグルタイがドルイニオンの農村を巡察しているあいだに、奴隷に襲われそうになったのだ。このときは危ういところを王子ボゴルチュに救われ、ことなきを得た。

「わが息子よ、この感謝は死ぬまで忘れないぞ」

しかしほどなくしてボゴルチュは病死してしまう。
武人としてこれからだったのに……。
ウイグルタイは亡き息子を思ってさめざめと泣いたという。
リューン王位継承権はボゴルチュの長男ハムールに引き継がれた。
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11409年、ウイグルタイはシェルカル土候国に対して宣戦した。
シェルカルはモルドール崩壊後のダゴルラド沼地に進駐してきたハラド人勢力だ。

ダゴルラド沼地は死者の沼とも呼ばれる不毛の土地だ。
なぜウイグルタイはこんな沼を欲したのか?
それはダゴルラド沼地の立地に関係がある。
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ダゴルラドはモルドールの黒門に面している。このダゴルラドを取ることによって黒門に蓋をし、ゴンドールがモルドール心臓部へ進軍できないようにするのだ。それと同時にリューンからの道をつけることで、容易にモルドールへ侵攻できるようにする。

それだけではない。
この土地ではかつて2度の大きな戦いがあり、おびただしい東国人の血を吸っている。東国の民にとってここは聖地のひとつなのだ。
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現在、バラド=リスイ部族のオーク王ナグルルがモルドールを掌握し、兵16000の動員を誇っている。リューン王国は今のところ兵力では負けているが、開発で盛り返し、ゆくゆくは人口密集地のバラド=ドゥアを取るつもりだ。
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戦役は順調に進み、リューン軍はシェルカルからダゴルラドを奪取した。これによって東国の民が5つの聖地すべてを抑えたことになる。うち3つはリューン領である。

この勝利はウイグルタイの威信を高め、リューンは東国の盟主としての自覚を深めることになった。
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11415年の1月、ブルフ=エルマナリキスの城に大鷲があらわれた。
霧ふり山脈の『ものいう大鷲』ロヴァリンである。

「北からの知らせだ。
ヴェ=ハムール家のブリからの救援要請がきている」
「なにがあった」
グンダバドが谷間の国へ侵攻した」
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先に述べたようにグンダバドは北のオーク3王国のひとつだ。
アンドゥイン源流域で勢力をたくわえ、南ではエルフ勢力のロスロリエンと衝突を繰り返している。それがついに東国人の国へと食指を伸ばしはじめたのだ。
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 グンダバドの王シャグフ
 17000ときわめて大兵力

同じ東国人としてヴェ=ハムール家を助けなければいけない。
だが、はたして間に合うのだろうか?
ウイグルタイは急ぎ兵を招集し、北へと出発することにした。


次回、ウイグルタイ王:防衛